好きな人に好きだよと言いたい。

 

嬉しいなら嬉しいと言いたい。

 

一緒に居たければ一緒に居ようと言いたい。

 

嫌なことは嫌と言いたい。

 

手を握りたければ手を繋ごうと言いたい。

 

でも、、、過去の僕にはこんなことが許されなかった。

 

自分の気持ちのままに発言すれば、キモいと思われることがわかっていたし、そう思われることに怯えていたから。

 

僕の学生時代は女の子から相手にもされず、自分から話しかけることもできなかったので、女の子とまともに話す機会などほんとなかった。

 

女の子とワチャワチャ楽しそうにしている男達が羨ましく、彼女と手を繋いで下校する同級生を尻目にヤキモチ焼いて、いつも1人で下校していた。

 

休憩時間になれば友達もいなかったので、寝たふりをして休憩時間が過ぎるのを待っていた。

 

そんな僕に唯一、気さくに話しかけてくれたのが、多くの男から人気のYちゃんだった。

 

バッチリした大きな瞳に長いまつ毛。白い肌に茶色い髪。

 

まるでアイドルのような恵まれた容姿にも関わらず、誰にも分け隔てなく愛想の良い美少女だった。

 

ある日、僕が筆記用具を忘れたときがあって、授業中に書くものを必死に探していると、サッとペンを渡してくれたのがYちゃんだった。

 

驚いた僕はとっさに「ありがとう」と言いだせずに、5秒ほど言葉を失った後に、聞こえるか聞こえないかのような小さな声で「ありがとう、、、」と呟いた。

 

ほかにも僕が1人で休憩時間を過ごしているのを見て、話しかけてくれる唯一の女の子でもあった。

 

 

なぜこんな空気のような存在の僕のことを気にかけてくれるのかというと、Yちゃんには弟がいて、僕を見てると「弟を思い出す」と言ってくれたことがある。

 

その言葉がどれだけ嬉しかったことか、、、。

 

 

誰からも人気があって、それでいて人当たりが良くて優しく接してくれるYちゃんに僕の心は奪われてばかりだった。

 

僕は自宅にいるといつもYちゃんのことばかり考えていた。

 

僕はYちゃんにどう思われているんだろう、、、。Yちゃんは好きな人がいるのかな、、、。

 

そんなYちゃんに憧ればかり抱くものの、自分に自信がない僕は好きな人(Yちゃん)に嫌われることが怖くて自分から話しかけることができなかった。

 

だからYちゃんと楽しそうに話す男達が羨ましかった。何よりも自分にできないことをまるで当たり前のようにしていることが羨ましくて劣等感を感じていた。

 

そんな僕は学生時代はまともに女の子と接することがないまま、僕は社会人になった。

 

年齢=彼女いない歴は更新していくばかり。

 

社会人になると同期の男女はみんな仲がよくて、仕事後に飲み会をしたり、プライベートでも遊ぶことが多かった。

 

僕はその輪に馴染めずに、あまり交流を取らないようにしていた。

 

その内に同期の人達は付き合い出したり、身体の関係を持ったりした話しも耳にはいるようになっていった。

 

正直、羨ましいと思った。それと同時に「このままじゃ一生彼女なんかできないかもな、、、」という焦りもどこかで感じていた。

 

ある日、高校の同窓会に呼ばれて数年ぶりにYちゃんに会ったが、数年経ったYちゃんは相変わらず誰から見ても美女だった。

 

その美しさにドキドキした。一瞬で心が奪われた。

 

 

学生時代の頃の記憶が蘇る。学生の頃、こんな僕にも優しかったYちゃんのことを思い出した。

 

大人になったYちゃんは相変わらずの愛想の良さで、僕のことを覚えてくれていた。

 

僕は相変わらず自分から話しかけに行けずに近寄ってみると「くるす君、久しぶりだね」とYちゃんから声をかけてくれた。

 

僕はこのとき人生で初めて「この子と本気で付き合いたい」と思ったし、過去に何もできなかったことを思い出した。

 

あの頃は嫌われることが怖くて何もできなかったけど、もう同じ過ちは繰り返さない。

 

数日後、僕は勇気を振り絞って人生で初めてデートに誘うものの、「彼氏がいるから、、、」とフラれてしまった。

 

その日はスマホ片手に部屋で愕然としつつ、自然と涙が溢れだしてくる。

 

「なんで、、、いつもこうなんだ、、、」良い大人が声にだして本気で泣き崩れていた。

 

その日は眠りにつくまで一晩中涙がこぼれてきた、、、。

 

この日を境に僕はずっと心にポッカリ穴が空いたように無気力になってしまった。

 

こんなに落ち込んだのは多分、人生で初めてかもしれない。

 

とにかく悔しかったんだ。

 

こんなに好きなのに、好きな人を手に入れられない自分が惨めで悔しくてしかたなかった。

 

このとき凄く葛藤したのを覚えている。

 

「もう彼女なんてどーでもいーや」って気持ちと、「なんとかしなきゃ、、、」という葛藤。

 

ここで何もしなければ一生好きな人を自分の女にできないってことを考えたら、居ても経ってもいられなかった。

 

 

「本気で自分を変えたい!」と思った瞬間だった。

 

そのときに知ったのがナンパだった。

 

僕は自分に対する悔しさと、傷ついた気持ちを忘れるためにもナンパしようと思った。

 

何かしなくてはずっと非モテな人生が続くんだと思うと将来にゾッとしたから。

 

でも、いくらナンパをしに街に出ても怖くて何もできなかった。見知らぬ女の子をナンパするのも怖くてとりあえずマッチングアプリも始めた。

 

マッチングアプリで知り合った女の子と人生で初めてのデートが実現した。

 

初めて女の子と2人きりで食事をしてみると、緊張のあまり頭は真っ白になって目もロクに合わせられず、うまく会話ができなかった。

 

「いったい何を話せばいいんだろう、、、」テーブルの下で手をモジモジさせながらめちゃくちゃ緊張していたのを覚えている。

 

このような不慣れなデートばかりが続いた。

 

その後もマッチングアプリでマッチングした女の子と何度もデートをしてきた。

 

デートするために洋服を買ったり、髪型を変えたり、オシャレにも気を遣うようになっていった。

 

「女の子との話し方」などもネットで調べたり、恋愛マニュアルにお金を払ったりした。

 

僕は「いつか女の子を抱きたい」という気持ちと、「モテるようになりたい」という気持ちが強くなっていった。

 

それでも何人もの女の子とデートをしてもなかなか上手くいかずに涙をながすような悔しい思いを何度もしてきた。

 

たとえばまったく僕に興味無さそうな素振りをなんどもされてきたし、僕に会った瞬間にガッカリしたような表情をされたこともあった。

 

美人な子ほど何も言葉がでてこなくなったり、僕と話しててもスマホいじってばかりで退屈そうにされたり。

 

時間とお金と労力ばかり使ってきた。

 

それでも僕はモテない自分を変えたくてたくさんの女の子に会ってきた。

 

 

そのうちに22歳のある女の子と出会い、僕の人生は動き出した。

 

 

その女の子とのデートはうまく会話を盛り上げることができていた。

 

お酒を飲みながら1時間以上は会話を弾ませていた。「よし!いい感じだぞ!」という手応えを感じた。

 

この後、どうすればいいんだっけ?僕はネット上でみた「モテる男達のお持ち帰りした方法」を思い出そうとしていた。

 

ボディタッチ?キスするんだっけ?手繋ぎ?

 

脳内をグルグル駆け巡りながら何をすればいいのか考えていた。

 

僕は勇気を振り絞って女の子の隣に座って、手を握ろうとした。緊張するな、、、。

 

「ダメだったらしょーがない。諦めよう。一か八かだ!!」、、、手を握った。

 

女の子は僕の手を振り払わない。

 

女の子の顔を見ると目が合った。ニッコリしてるように見えた。

 

「これって良い反応なんじゃないか?」僕達は店を後にして手を繋ぎながら夜の街を歩いた。

 

僕の心臓はドクンドクン鳴っていた。

 

「これってホテルに連れて行くときだよな、、、。」僕は物凄いプレッシャーを感じていた。

 

ほんとに大丈夫かな、、、。断られたりしないかな、、、。せっかくいい感じなのに嫌われないかな、、、。

 

脳内で辞めた方がいい!勇気を出せ!という言葉が駆け巡る。

 

「ここで勇気を出さなかったらもう2度とこんなチャンスはないんだぞ!!」この言葉が僕の背中を押した。

 

「もっと一緒に居ようよ」この言葉を投げかけた。

 

この日、人生で初めてゴールインした。

 

僕はこの経験により、初めて自分のことを誇らしげに思えた。こんな僕でもやればできるじゃないか!

 

その後もマッチングアプリやストリートナンパを続けてきて、非モテで悩んでいた悩みは徐々になくなっていった。

 

というか、きっと人生で初めて生き甲斐を感じられるようになっていた。

 

 

好きな人に好きだよと言いたい。

 

嬉しいなら嬉しいと言いたい。

 

一緒に居たければ一緒に居ようと言いたい。

 

嫌なことは嫌と言いたい。

 

手を握りたければ手を繋ごうと言いたい。

 

僕には許されないと思っていた言葉が、今は自分の気持ちのままに女の子に伝えられるようになっていた。

 

拝啓Yちゃんへ

僕が人生で初めて本気で好きになったYちゃん。

 

僕の心を2度も奪い、苦い失恋を感じさせてくれたからこそ、僕は悔しさを感じて非モテな自分を変えようと本気で思った。

 

もしもあなたと出会うことがなかったら、僕はモテない自分に諦めた人生を送っていたかもしれない。

 

僕は心を奪われるほどYちゃんが大好きだったから、好きな人が手にいれられない苦しみを味わうことができた。

 

その苦しみによって自分を奮い立たせることができたんだと思ってる。

 

Yちゃんの存在に今でも感謝しています。

 

くるすより。